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2011年9月1日木曜日

ジャパンソサエティ協力支援:物資支援2号 石巻市「めだかの楽園」

仙台からレンタカーのカーナビに目的地をセットする。
「めだかの楽園」の電話番号をセットするとちゃんと認識しました。
カーナビの画面上にルートが表示され、機械的な女性の声で指示されます。
その指示に従って運転をすると、ちゃんと目的地へ連れていってくれました。
そこで見たのは、津波に洗われた広大な荒野、津波と火災で黒く変色した小学校の跡地。
そして、かろうじて2階部分だけが残っためだか学園の姿でした。
郡山、仙台市内を走っていて、今ひとつ実感の沸かなかった、東日本大震災が、強烈な現実感を伴って目の前に登場した気がしました。


ここにあった「めだかの楽園」は、600坪の敷地に通所介護のデイケアセンター、小規模多機能型居宅介護、広い庭、独立して立っていた食堂。
今は廃屋になった建物の中に入っても、入り口に設置されたエレベータ、屋内には大人4人でも一緒に昇り降りできるような広い階段。
きめ細かなバリアフリーの工作など、決めの細かな配慮を感じました。
連絡はしてあるので、今の場所と別なところに転居した様です。
新しい住所を入力すると、カーナビはその場所へ連れていってくれました。
(今回の旅はカーナビにずいぶん助けられました)
石巻の沿岸部は、5ヶ月以上経過する今現在でも多くの信号が点灯せず、交差点のあちこちに警察官の方が出て厳しい暑さの中で車をさばいていました。
(お疲れ様、熱中症にならないで下さいね)


傷ついた市内を抜けると、大きな交差点に出て、その交差点に「めだかの楽園」の大きな看板を見ました。
見事に再生していました!!(ちょっと感動)
明るい入り口には、全国から送られた励ましの言葉が壁一面に貼られています。
広いフロアーを大胆に区切った屋内には、ディケアで通って来られた利用者の方と職員の方がいらっしゃいました。
「めだかの楽園」の管理者 井上利枝さん
そして、「めだかの楽園」の介護支援専門員の井上うみかさん(利枝さんの娘さん)にお話を伺うことが出来ました。


「めだかの楽園」は、有限会社井上技建という建設業だったようです。
ボランティアで始めた高齢者介護がいつのまにかめだかグループとして、地域に根ざす多機能な介護施設になりました。
「めだかの楽園」は、小規模多機能型居宅介護を、
「めだかの楽校」は、通所介護を、
「めだかケアセンター」は、居宅介護支援、「めだか訪問介護センター」は訪問介護を。
その他に、「めだかの食卓」ではバリアフリーで入れる食堂として食事の提供はお弁当の配達。
その他に福祉用具の販売やバリアフリーの施工(これは、本業ですよね)を行っています。

この様に書くと、震災後も順調に復旧した様に見えますが、お話を伺うとまったくそうではありませんでした。
震災当日は、いつもの地震と異なる揺れから、その日は利用者と職員の方を含めて40人居ましたが、全員を車に乗せて、安全な高台へ避難をしました。
その直後に大きな津波が襲ってきました。
避難をした場所は、石巻市で指定をした避難場所ではありませんでした。
(そこは位置的に不安があったため)
さらに安全な場所を日頃から持ち主と話し合って協力をしていただくようにしていたそうです。
その結果が功を奏して、あの未曾有の大震災で利用者、職員を含めて一人の犠牲者を出すこともありません。
最初、私たちは「めだかの楽園」の廃屋になった建物を見た時には、ここで何人の方が亡くなったのだろうかと想像しましたが、一人の犠牲者も出していない事により驚きました。
後ほど、「めだかの楽園」を管理している井上さんたちが、消防の年に2回の法定訓練以外に自主的に年に2回の避難訓練をしていたと聞き、日頃の訓練の成果がいざとなった時にきちんと結果に現れるのだなと痛感しました。
言うのは簡単ですが、なかなか実行できるものではありません。

ただし、助かったとは言え、施設は流されて命だけが助かった状態です。
利用者の方に十分なケアをする事もできません。
また、当日来所されなかった利用者の方で亡くなった方もいらっしゃいました。
利用者の方々をそれぞれに避難が出来る場所やケアを受けていてくれる場所へ送り出し、しばらくは何をして良いものかと避難所で意気消沈をしていたそうです。
その時に、今の建物のオーナーの奥様と井上利枝さんがご友人で、お友達に励まされて、かつては100円ショップだった建物をお借りして再起をしました。
大きなお店だったせいか、フロアーが広くて、天井が高く、窓が大きくてとても明るい雰囲気があります。
間取りの設計をし、施工をする時も普段は介護をしている職員の方々がプロの大工さんと一緒に釘を打ち、木を切り作りあげたようです。
苦労をしつつも素晴らしい再起を図れる施設ができました。



この施設の魅力の一つが24時間いつでも入れる大きな浴場です。
お店の中の水まわりなので、専用の浴室ではなく簡易的な感じですが、むしろその野趣を感じる雰囲気が入る人には気持ちが良いのでは無いでしょうか。
私も入ってみたいと思いました。

地震や津波が多くの思い出や写真を持って行ってしまったので、壁には様々な記事や写真が貼ってありました。
全国からの励ましや寄せ書きも貼ってあります。
こんな応援団に囲まれていると、頑張らなくてはという気持ちになりそうです。


お父様の井上光さん、利枝さん、うみかさんの3人に支援をさせていただいた10台の自転車と雨具を持ったところを撮影させていただきました。
職員の方も車や家財道具を流されて、ずいぶんと困っていたので、自転車はとても助かると言っていただけました。
震災直後は自転車の盗難も横行したそうで、「めだかの楽園」も被害にあったそうです。

施設を再開したとはいえ、まだ職員の数も十分はありませんし、利用者も以前の半分ほどです。
まだ、復興の入り口に立ったばかりです。
「めだかの楽園」の施設としてのケアをする質の高さからしても、今後も十分に地域に貢献し中核になるのではという可能性を感じます。
私たちも十分な支援ではありませんが、これから先も交流を重ねて共に成長できればと思いました。



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